観文禽譜


 国立国会図書館 近代デジタルライブラリー  古典籍資料

 

 近江国堅田藩主堀田正敦(ほったまさあつ 1758―1832)が編纂した禽類(鳥類)研究書。図はありませんが、和漢の文献を引用して国産のみならず舶来の鳥類の名称や形状等を考証したもので、当時としては最高最大の鳥類研究文献と評されています。寛政6年(1794)序。本書とは別に、正敦は彩色の鳥類図鑑『禽譜』も作成しました。

 

 観文禽譜

   堀田正敦 編  寛政6年(1794)序

   巻三 ニワトリ キジ ハト    

 

 禽譜

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観文禽譜 コマ番号 4/54 にわとり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観文禽譜 コマ番号 8/54 とうまる

 

 鶤根鶏 本艸解 蜀鶏 本艸解 傖鶏 本艸解

野千里云 大ナルヲ唐麿ト称ス 原モロシヨリ来ルヲ 以 名ツクル

 麿ハ古ノ男子称ナリ 唐マロノ中冠大鋸歯ノ如モ者 大鋸(ダイキリ)ト称ス

 近来大鋸ニシテ純白脚毛無者ヲ珍トス

 

志やむ

 闘鶏 花鏡  志やむ小ナルをつうじとりと云ふ

 毛色一ナラス トフマルヲ称大 冠常鶏ヨリ小ニメ 

 首長クカ強シ善闘フ

 

 尾亦常鶏ニ比スレハ短シ 大袛高二尺許 肩ハリ

 脛太クメ 距尖ル 

 性剛ニメ 能闘ヲ斃ルル 至始暹羅ヨリ来ニ据テ名

 ツケシナラン

 晋伝玄闘鶏賦前看如倒傍視如傾頭象規作觜以削成高膺峭峙

 峭峙 雙翅齊平躍身辣体怒勢横生爪以煉銅目如奔星・

 形状スト云ヘシ

とうまる 禽譜 宮城県図書館所蔵
とうまる 禽譜 宮城県図書館所蔵
和鶏 禽譜 宮城県図書館所蔵
和鶏 禽譜 宮城県図書館所蔵
志やむ 禽譜 宮城県図書館所蔵
志やむ 禽譜 宮城県図書館所蔵

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観文禽譜 コマ番号 9/54

 

うこけい 京  烏骨鶏 本草 なんきん鶏  をこつけい 筑前

 むつゆびどり 指六なり 指 シ故なり名ク をこつけい 讃州丸亀 をけら 石州 津和野 をけこ   上

 蘭山云う 羽毛細め白し ムク犬の如し 冠紫色 叢生す 嘴 脚共に黒し 良案云う 始め南京より来る 形和国尋常の鶏 俗に小国と云う 小国は地鶏之子に似て純白 脚蒼め 指六五本なる者は尋常よろしからす 冠亦黒色 其の冠赤き者を地南京と呼ぶ 時珍云う 舌黒き者 即ち骨肉共に黒い 入薬更に良し 千里云う 男は雌を用い 女は雄を用いる 専ら婦人の病を主なる 其の肉婦人の緒病一切虚損又子無き者に宜し 又男子虚労 弱遺精陰痿等を治す 世人烏鶏丸を制する 是なり 此丸を制する是なり 是丸を服すれば螽斯々たり 今試験する者多し 

 

からひと 髯あるを似て世俗カラヒトと名つけしならん

 或いは云う 形和国に似て 嘴根に髯あり 脚亦毛あり 凡そ鶏脚黄色 なる者 俗キアシと呼ぶ 黒色なる者をトロアシ呼ぶ

 

おらんこ鶏

 高須侯の写真を観るに白色にして常鶏に比すればかさ尾たれず短尾は黒く 或いは黒灰にして黒き 横 あるある肉冠常鶏に比すれば微しく 紫色を帯び嘴白うして微に黄 脚も亦白うして 脛のうらより掌に至るまで 色 其の雌は大に常鶏に異なり 頂烏骨鶏の如くにして 微しく 勝あり 眼辺及び冠肉紫赤全身白色にして 尾端黒色あり 嘴淡紅 脚 淡青 蘭人云う 阿蘭陀国 瓜哇国諸処より出と

 

からひと 禽譜 宮城県図書館所蔵
からひと 禽譜 宮城県図書館所蔵
阿蘭陀鶏 禽譜 宮城県図書館所蔵
阿蘭陀鶏 禽譜 宮城県図書館所蔵
オランダ鶏 禽譜 宮城県図書館所蔵
オランダ鶏 禽譜 宮城県図書館所蔵

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観文禽譜コマ番号 10/54

 

むく毛にわとり 京 きく鳥 筑前 反   反毛鶏 本草

 高須侯の写真を観るに其の色尋常■■■■の加背胸薄紫 腹及び尾し 羽土黄色腰羽あぶら鳥の如し 頭背胸腹羽毛背逆立ち 上に向かう肉冠常鶏に違うことなし 嘴淡青にして脚黄 其の雌は全身灰黒にして 毛羽逆立ちすること雄に同じ 嘴淡青にして脚灰黒

 

ちゃぼ

 矮鶏 本草綱目

 集解時珍云う 江南一種矮鶏■■二寸許也 舜水暹羅鶏はチャホ矮鶏同じと云へり 形尋常の鶏に異ならず 脛一二寸許り 尾立て頂に被か如し

■きくして 羽地を曳く者を良しとす 高飛びすること能はず 声も小にして短し 時を造ること能はず 和国に交わりて生ずる者 形小にして脚甚だひくからず 是を半チャボと云うて下品とす 徐葆光中山傅信録に有り 大和鶏は常鶏に比べ特に小短足長種出七島とあるも 亦チャボを云うに似たり

 

なんきんちゃぼ

 野千里云う チャホの中に尤も小なる者を南京チャホと称す 大きさ三

四寸に過ぎず 純白なる者を以て良しとす 脚及び眼色黄色 好事家競って是を養う これ近世南京より来れる者を矮鶏 今按にチャホ即ち矮鶏にして 南京チャホは其の中至って小なる者也 別種には非す

 凡そ商家の通言なり 凡そ南京と称する者必ず南京より来るに■す 

小なる者を多く南京と称す 南京鼠 南京鳩の類これなり 一種純白にしてムク毛あり 冠黒き者尤も良しとす 一種純黒なる者を異国黒と云う 或いは云う モノモタツハ国の産カフ国の本国なりと一種カピタンチャボ良安云う 同の色黒く脚も黒を帯びる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観文禽譜コマ番号 11/54

反毛鶏 禽譜 宮城県図書館所蔵
反毛鶏 禽譜 宮城県図書館所蔵
むくげちゃぼ 禽譜 宮城県図書館所蔵
むくげちゃぼ 禽譜 宮城県図書館所蔵
ちや保 禽譜 宮城県図書館所蔵
ちや保 禽譜 宮城県図書館所蔵

 

紀州黒

紀州黒 雄 禽譜 宮城県図書館所蔵
紀州黒 雄 禽譜 宮城県図書館所蔵

 

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紀州黒 雌 禽譜 宮城県図書館所蔵
紀州黒 雌 禽譜 宮城県図書館所蔵