鳥賞案子

 国立国会図書館 近代デジタルライブラリー  古典籍資料


 『鳥賞案子』は江戸時代3大養禽書の一つで、もっとも流布しており、『飼鳥必用』『鳥名集』『養禽物語』『鳥養草』『鳥はかせ』などの別名書も多い。

 著者比野勘六(生没年未詳)は薩摩藩の御鳥方で、本書には1.勘六の奥書だけ、2.勘六奥書のほかに遊長堂酒楽の奥書があるもの、3.勘六と遊長堂のほかに伊勢屋幸助の奥書と増補があるもの、の3種類がある。

本資料は2.に属するが、遊長堂酒楽の名は省かれている。

 上巻「飼方餌付方之部」は飼育・繁殖・治療法など、中巻「唐紅毛渡鳥之部」は外来種105品の形状と飼育法、下巻「和鳥之部」は和鳥201品(うち4品は獣)の形状と飼育法、となっているが、品数は資料によって多少の違いがある。

 また、上中下いずれか1冊だけの伝本も少なくない。本資料以外にも、当館には本書の同名本・異名本が幾つもあるので、以下にまとめておく。

『鳥賞案子』(103-163、完本2.)、

『鳥賞案子』(W395-N9、完本2.)、

『飼鳥必用』(237-45、完本2.)、

『養禽物語』(W395-N8、完本3.)、

『鳥賞案子』(特1-2133、中巻欠2.)、

鳥賞案子』(特1-1867、中巻のみ)、

『鳥はかせ』特1-924(下巻のみ1.)。

うち、特1-2133本と特1-1867本は同筆で、本来は1組か。

                        (磯野直秀)


 

鳥賞案子』(特1-1867、中巻のみ)

   6/53頁 鶏種名

 47/53頁 シャム鶏 

 48/53頁 唐丸 烏骨鶏 逆毛鶏

        紅毛鶏

                  

 

                  シャム鶏

                  唐丸

                  烏骨鶏 逆毛鶏 紅毛鶏

シャム鶏

 大鶏之とさかくるみさかに垂なし 胸に赤はだ見ゆる羽色種々有り

 

唐丸

 出島十善寺筋二種有 出島は紅毛出之とさか垂迄八寸ほどにしてせい高く 鳥の股 扇立にして通行成るほど也 至って身ほそにして 鶴の形したほを上とす  勿論十善寺は唐方にて紅毛ふとはなく せい低くして身太いなり とさかも小さし 勿論毛色いろいろ有り

 

烏骨鶏

 とさか柘榴さかにして色黒 足の指六 ツ 有と云へ

とも■■も有をよしと■■り鳥は白色のもの之

和にて出来しは色いろ有り とさかも赤し

 

逆毛鶏

 此鳥明和年中初て紅毛か東都へ渡 油鳥並に白鳥が番来る 夫か東都に於て初て子出来 今にてはちゃほ鶏にても有らん 

 

紅毛鶏

 此鳥半鶏より大きく方にて とさか三枚さかにて蓮雀あり 毛色種々有り 尤大小あり

 

 

鳥賞案子

 (特1-2133、中巻欠2.)

 

 75/80頁 半鶏 大地鶏 矮鶏 

 76/80頁 矮鶏

 

 

半鶏

大地鶏

矮鶏

 

 

鳥はかせ

 特1-924(下巻のみ1.)

 

 53/60頁 半鶏 大地鶏

 54/60頁 矮鶏

 半鶏 大地鶏

右鶏羽色種ゝ有りとさかくるみさか三枚さかとも云ふ志やくろさかたいきりさか此三品有

尤髭鶏とてのとの下頬にも毛の生へたる有り是をひけといふ

 

 矮鶏の・ 惣羽の色好む処を記

いこう黒 是ハ 頬の通りとさか迠少し黒ミ 出る

岸黒   是ハ 頬とさかに黒ミ なし烏黒ミ の鶏之

 此二品の黒ハ 老鳥に成りても首に油毛の羽不出

白毛 碁石

猩々   是にハ 三品有こひせうゝゝ薄毛せうゝゝ至つて赤きハ

     かひたんと云

鈴波碁石 是ハ 惣羽白黒の波形あるをいふ

鶴毛猩々 是ハ 薄赤に浅黄の毛有るをいふ  

浅黄 耳白 是ハ 耳白く粉を掛ケたるをいふ

桂屋   是ハ 白に尾羽黒きいふ 首に差毛有るは悪しく

     但しとさかに二品有り ちりめんさかよし

     ぬのさかハ 悪・惣体のこきくろをよしとするなり

車尾   是ハ 尾をまきさけるをいふ

丸羽   是ハ 尾の付根と首のしへ羽なし尤もめんに尾を付たるに如し

菖蒲尾  但さし尾と云 柳尾共云 ケツメ無を南京筋といふ