土佐のオナガドリ


 大正12年3月7日 「土佐ノ長尾鶏」(チョウビケイ)の名称で、国指定の天然記念物となる。

 昭和27年3月29日 名称を「土佐のオナガドリ」に改め、特別天然記念物に指定される。

 長尾鶏(チョウビケイ)の名称は古く、高知ではこれを「ナガオドリ」、「オナガドリ」と読ませた。

 大正12年以前より五十嵐青正龍氏は、尾長鶏の名称を使用しているため、当時より混同があったものであろう。

 

 田口晋吉著、畜産各論明治33年(1900)には欧州には1878年にドイツに輸入せしとの記述がある。

 

 

  


小品考  安政5年序、6年刊

     西村廣休(ひろよし:1816~1889)

                  


長尾鶏 

  一名細尾鶏 

  和名サヾナミ シノハラタウ

魏志、朝鮮有長尾鶏、尾細而長三尺、

同書、馬韓国出細尾鶏、其尾皆五尺餘、

 土州ニテサヾナミ又篠原トウト云形状常鶏ニ同

 シテ尾甚長垂ル 三尺或五尺許奇ナルモノナ

 リ又白者アリシラフヂト云其尾長ク垂レテ銀藤(シラフヂ)

 ニ似タル故ニ名クナルベシシラフヂ漢名銀藤ハ

 平湖縣誌ニ見エタリ 



博物雑誌 第5号 「 長尾鶏ノ説 田中房種 

                  明治12年7月刊行

 長 尾 鶏

長尾鶏ハ鶏属中最モ長尾ナル種類ニシテ其初

ハ土佐長岡郡篠原村ヨリ出ツ因テ「シノハラタ

ウ」ノ名アリ天保年間高知ニ於テ此鶏ノ飼養

大ニ流行セシ時ニ至リ一層美麗ナル良種ヲ

出シ伝ヘテ今日ニ至ル下ニ図スル所ハ即チ

其種ニシテ高知南新町住士族島内虎兵氏ノ

飼養セシ者ナリ其尾ノ最長キハ壱丈三尺五

寸其幅各五分許長短合シテ弐十條アリ

長尾鶏ノコトハ従来書冊ニ載スルコト少シ唯

安政六年秋刊行セル伊勢相可西村廣休

氏ノ小品考ニ図アリ曰く魏志、朝鮮有

長尾鶏尾細而長三尺、同書、馬韓国出

細尾鶏其尾皆五尺余、注ニ曰ク

土州ニテ「サヾナミ」又「篠原タウ」

ト云フ形状ハ常ノ鶏ニ同シ

テ尾甚長ク垂ルヽコト三尺

或ハ五尺許奇ナル者ナリ又白キ者

アリ「シラフヂ」ト

云フ其尾垂レテ

銀藤ニ似タル故ニ

名クルナルベシ云々

アルノミ

又土佐ニ一種「サカハタウ」云

フアリ高岡郡左川村ヨリ出ツ又

一種「トウテンカウ」ト云フアリ皆「シ

ノハラタウ」ノ別種ニシテ形状大抵相似

タリト云フ

 明治十二年七月

              田中房種記

              中島仰山畫

              田中芳男閲  

 



天然記念物指定申請書    高知県知事  大正10年5月6日 



尾長鶏並びに諸鶏の記             五十嵐正龍    大正12年記



 

家禽図鑑  三井高遂・衣川義雄 共著 昭和8年発行

 24頁~31頁

 一、長尾鶏

  来歴

  外貌

  止箱(トメコ)の構造  



 

天然記念物調査報告 動物之部  

 文部省 昭和13年1月20日



 

日本鶏の歴史  小穴 彪 昭和18年7月15日 (1943) 発行

 鶏の研究社

  



 

日本鶏之歴史  小穴 彪 昭和26年9月5日 (1951) 発行

 211頁~234頁

 一.尾長鶏

  (一)名称に就て

  (二)起源

  (三)来歴

  (四)体型

  (五)体色



審査標準 高知県日本鶏保存会



 

 褐色長尾鶏  高知新聞記事 昭和29年1月25日

 

  交配は秘中の秘 珍しい褐色長尾鶏がお目見得

 

゛おらんく自慢 ゛の一つ、特別天然記念物の長尾鶏に褐色の新種が現れた、褐色の新種は戦時中の保護不十分ですっかりなくなっており戦後はじめてのお目見得、二十四日開かれた日本鶏展覧会でも人気を集めたが、今後観光面でも期待が寄せられている

 

 持主は長岡郡大篠村篠原、農業 岡上清馬(七四)で五十数年長尾鶏の育成に努力して来た人

「どうしても褐色をつくりたいと思って・・・失敗していくらトリをつぶしたことですか、このトリが二才ですがまだちょっと尾が貧弱です」

「どんな方法でつくりましたか」の問には

「秘中の秘ですヨ」といって笑ったきり答えない、

関係者の話によると褐色の東天紅と交配させてつくったものらしい

 



 

「特別天然記念物 土佐のオナガドリ」について

高知県南国市教育委員会 生涯学習課 2007/10/17

 

「伝説では地鶏とキジや山鳥と交配して作ったとなっていますが、正確な記録がないため、よくわかりません。」と由来に説明されていますが

この説は、尾長鳥並びに諸鶏の記(五十嵐正龍)に否定されるものと批判されています。 



土佐のオナガドリの名称につて

 

 小品考             安政   5年序、6年刊      長尾鶏   西村廣休(ひろよし:1816~1889)

 

 博物雑誌            明治12年7月刊行       長尾鶏   第5号 「 長尾鶏ノ説 」 田中房種 

                  

 土陽新聞            明治19年12月2日      長尾鶏(ながをどり)

 

 土陽新聞            明治42年2月9日       尾長鶏をながどり) 五十嵐櫻埒

 

 土陽新聞            大正6年1月27日     長尾鶏(をながどり) 五十嵐正龍

 

 高知県公文書          大正10年5月6日     尾長鶏   土第一〇五三号 内務大臣官房地理課長 宛

 

 尾長鶏並びに諸鶏の記         大正12年記                      尾長鶏   五十嵐正龍   

 

 国指定天然記念物    大正12年3月7日        「土佐ノ長尾鶏(チョウビケイ)

 

 特別天然記念物      昭和27年3月29日   「土佐のオナガドリ」に改める

 

 

 土佐の長尾鶏チョウビケイから土佐のオナガドリへ 

 

 天然記念物に指定されるとき高知県知事よりは尾長鶏の名称で報告がなされています。

 

これは長尾鶏群といわれる東天紅鶏、蓑曳鶏小国、その他の鶏種がいたため、これらと混同をさけるため土佐のを冠し、

 

指定名称を『 土佐長尾鶏 』としたと想像される。

 

特別天然記念物に指定するときに、長尾鶏、尾長鶏を指定名称に使用することを避けた理由は、

 



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